気になるマウスピース矯正とむし歯の関係〜治療前・治療中に分けて対処法を解説〜
監修医情報
医療法人丹心会 大谷歯科矯正歯科 理事長 大谷 淳二(おおたに じゅんじ)
愛知学院大学歯学部卒業後、広島大学大学院にて顎顔面の成長発育をテーマに歯学博士を取得。
大学では矯正歯科・顎変形症治療を専門に研究と臨床に従事し、米国UCSF客員教授としても骨格性不正咬合や外科的矯正を含む国際水準の矯正歯科治療に携わる。
現在は大谷歯科矯正歯科の理事長として、見た目だけでなく「咬める」「長く保つ」ことを重視した矯正治療を軸に、精密検査・3D診断・アンカースクリューを用いた治療計画を日常臨床で実践。
世界インプラント矯正歯科学会(WIOC)理事、日本顎変形症学会評議員として、外科的矯正・骨格性不正咬合・難症例矯正の分野で学術的にも活動している。
【主な資格・所属学会】
- 日本矯正歯科学会 認定医
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本舌側矯正歯科学会
マウスピース矯正は取り外しができて歯磨きもしやすい一方、長時間装着する装置だからこそ「むし歯にならないか心配」という声はよくあります。
実際、矯正歯科治療前にむし歯が見つかることは珍しくなく、その場合は、矯正歯科治療開始前にむし歯や歯周病治療を終わらせておく必要があります。
大切なのは、むし歯を早く見つけて悪化させないことと、日々のケアで予防すること。治療前・治療中それぞれの対処法と、むし歯を防ぐポイントを整理します。
矯正歯科治療を検討されている方は、国内外で多数の講演実績を持つ歯科医師が在籍する、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください。
マウスピース矯正のよくある失敗を詳しく解説。
マウスピース矯正前にむし歯が見つかった場合の対処法
マウスピース矯正は、歯の表面にしっかりフィットする装置を使うため、むし歯や歯周病の治療を先に済ませ、口腔環境を整えてから開始します。
むし歯が残ったままだと進行するリスクがあるだけでなく、矯正治療中にむし歯の治療を行うことによって詰め物で歯の形が変わると、マウスピースが合わなくなる可能性もあります。
先にむし歯や歯周病治療を行ってから、矯正歯科治療を開始しましょう。
軽度のむし歯の場合
小さなむし歯であれば、先に詰め物などで治療してから矯正を始めます。
治療が短期間で終わることも多く、矯正歯科治療の開始時期が大きく遅れることはありません。ただし、特にむし歯リスクの高い方は「食後の歯磨き・フロス」を習慣化し、矯正開始後に再発しない環境を整えるのがポイントです。
当院では、矯正歯科治療開始時に、セルフケアグッズ(歯ブラシ・お勧めの歯磨き粉・フロスや歯間ブラシ)を無料でお渡しします。
また、位相差顕微鏡を利用して、お口の中の細菌の種類や量・活性度を確認し、リスク判定を行っています。
重度のむし歯の場合
神経に近い、または型取りを行って被せ物を入れる必要があるような、大きなむし歯がある場合は、治療期間が長くなることもあります。
被せ物の形や高さは、咬み合わせにも影響するため、治療計画や矯正装置を作るための型取りは、むし歯治療終了後に行います。
「早く矯正を始めたい」と感じても、お口の状態が良くないまま進めると、途中で矯正歯科治療の中断や治療計画の変更が必要になる可能性があります。
まずはむし歯治療を確実に行い、お口のなかの環境を十分に整えてからスタートするのが安心です。
マウスピース矯正中にむし歯が見つかった場合の対処法
矯正中にむし歯が見つかったときは、「むし歯の進行度」と「マウスピースの適合への影響」で対応が変わります。
軽度であれば応急処置や同時進行が可能なこともありますが、進行している場合は矯正歯科治療を一時中断してむし歯治療を優先するケースもあります。
いずれにしても、自己判断で装着をやめたり、痛みを我慢して放置したりすることは避けましょう。早めに歯科医師へ相談し、治療計画を調整することが大切です。
矯正歯科治療とむし歯治療を同時に行う
むし歯の部位や治療内容によっては、矯正とむし歯治療を並行して進められる場合があります。
詰め物の範囲が小さく、白いプラスティックを詰めて当日に治療が終わるような小さなむし歯は、治療後もマウスピースの適合が保てますので、治療が中断することはありません。
一方で、詰め物の形が変わるとマウスピースの適合が悪くなり、うまく入らなくなることがあります。
当院では、矯正治療のチェックでご来院される時に、必ずお口の中の全体のクリーニングを行っています。ですから、当院での矯正歯科治療中にむし歯になることはほとんどありません。
しかしながら、一般的に、ワイヤー矯正では月1回のチェックが必要ですので、お口全体のクリーニングも月1回行うことができますが、マウスピース矯正では、2〜3ヶ月に1回のチェックが一般的です。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の比較についてはこちら。
したがって、マウスピース矯正の時は、当院でのクリーニングも2〜3ヶ月に1回の頻度でしか行えませんので、その間のセルフケアが十分でないと、むし歯を作ってしまう可能性があります。日々の歯磨き・フロス・洗浄の質が大切です。
当院は、矯正歯科治療だけでなく、お口のクリーニングなども保険適用で行える総合歯科です。
ご自身での口腔内管理が不安であれば、矯正のチェック以外の日に、保険のクリーニングを受けていただくことも可能ですので、ぜひスタッフまでご相談ください。
矯正歯科治療を一時中断してむし歯の治療をする
むし歯が深い、痛みが強い、神経の処置や被せ物が必要、といった場合は、矯正を一時的に休止してむし歯治療を優先することがあります。
歯の形が大きく変わると今のマウスピースが合わなくなる可能性があるため、治療後に再スキャンや追加のマウスピースの作製が必要になります。
休止といっても「いままでの矯正が無駄になる」わけではありません。
新しい追加のマウスピースが届くまでは、今の状態を維持するためのマウスピースをお渡しし、それを使用していただきます。そして、新しいマウスピースが届いたら、また矯正歯科治療を再開します。
中断中の装着指示(今の段階を維持する、前のマウスピースに戻す等)は、その時のお口の状態によって異なるため、必ず指示に従いましょう。
マウスピース矯正中にむし歯になりやすい理由
マウスピース矯正は「外せるからむし歯になりにくい」と思われがちです。
実際は装着時間が長い分、汚れが残ったままマウスピースを装着していると、唾液の働きが悪くなり歯の表面の汚れが残りやすく、食事やケアの習慣によってはむし歯のリスクが上がる可能性があります。
特に、食後に歯磨きをせず装着してしまう、甘い飲み物をだらだら飲む、セルフケアが不十分といった要因が重なると注意が必要です。理由を知っておくと、予防のポイントがはっきりします。
唾液が歯に当たらなくなる
唾液には、歯の表面を洗い流す自浄作用や、むし歯菌が産生した酸を中和する働きがあります。
マウスピースを長時間装着していると、歯の表面に唾液が行き渡りにくい状態になります。その結果、酸性に傾いた環境が続きやすく、むし歯ができやすい条件が整う可能性があります。
口が乾きやすい方や、口呼吸の癖がある方は特に注意が必要です。
マウスピースと歯の間に細菌が溜まりやすい
マウスピースは歯を覆う装置なので、歯の表面に歯垢(細菌のかたまり)が残ったまま装着すると、その汚れが密閉されてしまいます。
糖分を摂取した後に磨かずに装着すると、細菌が酸を作り、むし歯が進行しやすい環境になります。特に、歯と歯の間、歯ぐきの近くは汚れが残りやすいポイントです。
歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシを併用し、汚れを残さないことが重要です。
口腔ケアが不十分
「食後に歯を磨けないまま装着してしまう」「外出先でケアができない」といった状況は起こりがちです。数時間の遅れですぐむし歯になるわけではありませんが、磨かない日が続くとリスクは上がります。
また、間食や甘い飲み物が多い方は、口腔内が酸性になる回数が増えるため注意が必要です。
矯正歯科治療中は、適切な口腔ケアを続けることが大切です。生活スタイルに合わせた予防策を一緒に設計しましょう。
マウスピースが不衛生
マウスピース自体に汚れが付着したまま装着すると、細菌を口腔内に戻す状態になります。
洗浄が水すすぎだけだと、汚れやにおいが残ることもあります。さらに、ケースの中が汚れていると再汚染の原因にもなります。
当院では、マウスピース矯正開始時に、専用の洗浄剤や消毒剤のご案内、さらには、紛失や破損を防ぐためのマウスピースケースを差し上げております。ご案内に従い、毎日の洗浄を習慣化し、必要に応じて洗浄剤を使うことが予防につながります。
熱湯は変形の原因になるため禁止されています。お水かぬるま湯で洗浄してください。
マウスピース矯正中のむし歯を防ぐポイント
むし歯予防の基本は、糖質・細菌・時間の3つの要因をコントロールすることです。すなわち、むし歯を防ぐカギは、『食べ方(時間)』『甘いもの(糖分)』『お口の汚れ(細菌)』を上手に管理することにあります。
マウスピース矯正中は装着時間が長くなるため、「食後に汚れを残さない」「酸性の時間を短くする」「マウスピースを清潔に保つ」ことが重要になります。特別なことを一気に増やすより、毎日続けられる形に落とし込むのがコツです。
ここでは、患者さんによくお伝えする予防ポイントを整理します。
食後は歯磨きをしてからマウスピースを装着する
むし歯予防の基本は、食後に歯磨きをしてからマウスピースを装着することです。食事後、なるべく早く歯磨きをすることをお勧めします。
大切なのは「汚れを閉じ込めない」ことです。特に、唾液と絡むと粘着性がでる食べ物(パン・クッキーなど)や、糖分の多い飲食(ジュース・お菓子)の後は注意しましょう。
だらだら食べ・だらだら飲みが習慣化している方は、常にむし歯のリスクが高い状態になるだけでなく、マウスピースの装着時間も確保しづらくなるため、食事のメリハリを意識するとむし歯予防と矯正歯科治療の両方に役立ちます。
食後にどうしても歯磨きできない時は?
むし歯予防の基本は、食後に歯磨きをしてからマウスピースを装着することでしたが、外出先や仕事中などの食事では、どうしても歯磨きができない状況があります。また、コロナの影響で、給食後は歯磨きをしない学校が増えてしまいました。
私たちも、「みんなが歯磨きしていないから、自分もできない」と耳にすることが多いですが、「みんながしていなくても、自分は歯磨きをすべき」と考えています。
「歯を磨いて、お口の中をきれいに保ち、むし歯や歯周病を防ぐ」ことは、他のみんながしていなくても、自分はしておくべきだと思います。ぜひトライしてみてください。
それでも、どうしても食後に歯磨きができないという場合は、まずは食後にしっかりお水でお口の中をゆすいでください。その後に、マウスピースを装着することを優先しましょう。
そして、帰宅後や仕事の合間に歯磨きができる時間が確保できたら、その時に歯磨きをしてください。
数時間歯磨きができなかったから、すぐにむし歯ができるわけではありません。毎日同じ場所に汚れが溜まり続けることでむし歯ができるのです。
マウスピース矯正中は、まずは装置の装着時間を優先してください。
こまめに水分補給を行う
口腔内が乾燥すると、唾液の自浄作用が弱まりやすくなります。水をこまめに飲むことで、口の乾き対策と汚れの滞留を減らす効果が期待できます。
装着したまま飲めるのは基本的に水が中心で、砂糖入りの飲料は避けた方が安心です。ブラックコーヒーやお茶でも着色が気になる方は、飲んだ後にうがいをするなど工夫するとよいでしょう。
仕事中にお口が乾く方は、手元に水を置くなど、続けやすい形にするのがおすすめです。
フッ素の塗布をする
フッ素には歯の表面を強くし、むし歯になりにくい環境を作る働きがあります。自宅ではフッ素配合歯みがき粉を使い、歯科医院では必要に応じてフッ素塗布を行うことで予防効果を高められます。
これまでにむし歯治療の経験が多く、むし歯リスクが高い方は特に有効な選択肢です。
当院では、矯正治療のチェックの際に、お口全体のクリーニングを必ず行いますが、その際に、お勧めの歯磨き粉やフッ素塗布の最適なタイミングについてもご説明いたします。
矯正歯科治療は長期間になることもあるため、予防の積み重ねが大切です。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは残りやすいです。歯間部はむし歯ができやすいので、デンタルフロスや歯間ブラシの併用が重要になります。
最初は難しく感じても、慣れると短時間でできるようになります。歯ぐきから血が出る場合は、炎症があるサインです。柔らかい毛先の歯ブラシを使って、歯と歯ぐきの間をしっかりブラッシングしましょう。
本来は、歯と歯の間を磨く「デンタルフロス(糸ようじ)」や「歯間ブラシ」を毎食後に行っていただくのが理想です。
忙しい毎日の中で難しいようでしたら、夜だけでも習慣に取り入れていただけると、汚れの残り方が大きく変わり、むし歯のリスクは大きく減少します。
マウスピースは毎日洗浄する
マウスピースは毎日洗浄し、清潔な状態で装着することが基本です。
水で軽くすすぐだけでは汚れが残ることがあるため、やさしくブラッシングしたり、専用の洗浄剤を使ったりします。熱湯は変形の原因になるため避けましょう。また、保管ケースも汚れやすいので、定期的に洗って乾かすのがポイントです。
当院では、正しい洗浄方法やお勧めの洗浄剤などのご案内を、マウスピース矯正開始時に行っています。長期間の管理になりますので、自己流にならないよう注意しましょう。
定期検診・クリーニングを受ける
マウスピース矯正中は、定期的なチェックとクリーニングが重要です。自分では気づきにくい磨き残しや初期のむし歯は、早期に見つけられるほど対応しやすくなります。
当院では、矯正による歯の移動の経過確認とあわせて、歯ぐきの状態や歯垢の付着を評価し、ケア方法の軌道修正を行っています。
マウスピース矯正では、装着時間がしっかり確保できていれば、2〜3ヶ月おきの来院間隔になります。その間のセルフケアが心配な場合は、保険のクリーニングを受けることもできます。
予約の取り方も含めて計画的に進めましょう。
マウスピース矯正中のむし歯に不安がある方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください
マウスピース矯正中のむし歯が心配な方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください。
当院は国内外で200回を超える講演実績のある医師が監修するクリニックです。日本矯正歯科学会認定医・日本顎咬合学会認定医が在籍し、矯正の進行だけでなく、むし歯や歯周病のリスクも含めて口腔内を確認したうえで、あなたに適した治療計画をご提案します。
初診ではお悩みを伺い、必要な検査(写真・レントゲン等)を行い、むし歯がある場合の進め方やケア方法を丁寧に説明します。
まずは相談だけでも大丈夫です。不安を整理しながら、無理なく続けられる矯正と予防の両立を一緒に考えていきましょう。
出っ歯の矯正治療を検討されている方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください
定期的に【無料矯正相談会】を実施しております