下顎前突(受け口)の矯正歯科治療方法を年齢別・症例別に分けて解説。矯正する上でのリスクも
「受け口」といわれる状態が気になって、矯正歯科治療を検討されている方も多いのではないでしょうか。
下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態 (いわゆる「受け口」) は、専門的には「下顎前突 (かがくぜんとつ)」と呼ばれ、見た目の印象だけでなく、咬み合わせや発音などの機能にも影響を与えることがあります。
また、下顎前突の患者さんは、80歳で20本歯が残せないと報告されており、咬み合わせが悪いことによって、将来自分の歯を失うリスクが高いことが知られています。
本記事では、下顎前突の原因や症状に応じた矯正歯科治療の方法、治療にかかる期間・費用、注意すべきリスクなどを、年齢別にわかりやすく解説します。
受け口でお悩みの方は、国内外で多数の講演実績を持つ歯科医師が在籍する、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください。
下顎前突とはどのような歯並び?
下顎前突とは、下の前歯や顎が上の前歯より前に出ている状態を指します。横顔のラインがしゃくれて見える、発音がしにくい、前歯で食べ物を咬み切りづらいなどの問題が生じることもあります。
原因は人によって異なり、骨格のバランスや歯の生え方、舌や口周りの癖などが複合的に関わっているケースもあります。
見た目だけでなく、咬み合わせや口腔機能の健全な発達のためにも、早めに専門的な相談を受けることが大切です。
下顎前突になる原因
下顎前突の原因は一つではなく、骨格・歯の位置・舌や呼吸のクセなど、複数の要素が重なり合っていることが少なくありません。それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。
骨格
骨格的な要因としては、下顎が前方に大きく成長している、または上顎の成長が不十分であるといったケースが考えられます。
こうした骨格のアンバランスは遺伝的な要素の影響もあります。ご家族や親族の方に「受け口」の方がいらっしゃる場合、そのお子さまも受け口になる可能性があります。
骨格のずれが大きい下顎前突は、歯の移動だけでは改善が難しく、外科手術を併用した治療が検討されることもあります。
歯の生え方
骨格に問題がなくても、歯の傾きや位置によって、受け口のような見た目になることがあります。たとえば、下の前歯が外向きに傾いていたり、上の前歯が内側に倒れていたりする場合です。
このようなケースでは、歯列矯正のみで改善できる可能性があります。骨格の状態と合わせて診断することが重要です。
舌のボリュームや動かし方
舌が大きかったり、癖として習慣的に前方に突出させたりしていると、日常的に歯やあごを前方に押す力が加わります。その結果、長期間のうちに歯列や顎の位置に影響を及ぼし、下の前歯を傾斜させたり下顎の成長を促進させてしまうことがあります。
舌の位置や使い方にアプローチするトレーニング(MFT:口腔筋機能療法)を併用することで、再発防止につながる場合もあります。
当院ではMFTの専門的な知識を有するトレーナーが複数在籍しており、矯正歯科治療と並行して舌の使い方や筋機能の改善をサポートしています。
口呼吸
鼻ではなく口で呼吸する習慣があると、常に口が開いた状態になり、舌や口周りの筋肉のバランスが崩れやすくなります。
お口で呼吸をしている時には、舌は下の歯の内側にあります。この状態が成長期の間ずっと継続すると、下顎が前方や下方に成長しやすく、骨格のずれが大きくなります。
また、幼少期に扁桃腺の肥大があると、鼻での呼吸が難しく口呼吸になるとともに、舌が前に出やすくなるため、注意が必要です。
当院では、レントゲン検査の際に、口蓋扁桃、咽頭扁桃、舌扁桃の状態について確認し、必要であれば耳鼻科の先生と連携をとりながら、矯正歯科治療を進めていきます。
口腔習癖
通常、食べ物や飲み物を嚥下するときは、舌が上下の前歯に当たることはありません。ところが、嚥下時に舌を上下の前歯に押し当てて飲み込む癖を持っている方がいらっしゃいます。
舌は筋肉の塊ですから、この力が強いと下の前歯を押し出す原因となり、受け口になってしまいます。
これらの習癖は無意識に行われることが多く、原因に気づかないまま下顎前突の症状が進行してしまうこともあります。原因に応じて、生活習慣の見直しやトレーニングを行うことが大切です。
下顎前突の矯正歯科治療方法
下顎前突の治療にはさまざまな方法があり、治療の開始時期、症状の程度やご希望に応じて最適な治療法を選ぶことが大切です。
成長期(子ども)と成人(大人)で治療の目的やアプローチが異なります。
成長期(子ども)の治療
成長期の治療は「第1期治療」と呼ばれ、下顎の成長を抑えたり、上顎の成長を促すことで骨格的なバランスを整えます。骨格的な改善を期待できることが、この時期の治療のメリットです。
一般的に、乳歯の時に反対咬合だったお子さんが、永久歯に生え変わるときに反対咬合が自然に治癒する割合は約3割程度です。
乳歯から永久歯に生え変わる時期(おおよそ6〜12歳)に経過を観察し、必要に応じて矯正歯科治療を開始することが重要です。タイミングを逃さず適切な計画を立てるためにも、早めのご相談をおすすめします。
【主な装置】
リンガルアーチ:
上の前歯を外に押し出すことで、反対の咬み合わせを治します。歯の裏側に装置がありますので、あまり目立ちません。
上顎前方牽引装置:
成長が弱い上顎骨の前方成長を促します。就寝時に使用します。
急速拡大装置:
上顎の幅を根本的に改善します。歯の裏側に装置が装着されるので、あまり目立ちません。
チンキャップ:
下顎の前方への成長を抑制します。就寝時に使用します。
成人(大人)の治療
成人ではすでに顎の成長が止まっているため、歯の移動により咬み合わせを改善する治療となります。
歯の重なり具合や顎の骨格的なズレの程度によって、大きく2つのアプローチに分かれます。
1) 歯の移動のみによる治療
歯の角度や位置を調整することで咬み合わせを改善する方法です。軽度から中程度の症状が対象となります。
通常、下の親知らずを抜歯して、アンカースクリューと呼ばれる固定装置を利用し、下の歯を全体的に後に下げていきます。
歯を並べるスペースの量が不足していたり、歯の移動量が多い場合は、抜歯をして治療を行う場合があります。
矯正歯科治療における抜歯のメリット・デメリットは、こちらの記事で紹介しています
2) 外科的矯正治療(顎変形症の治療)
上下の顎の骨の大きさや位置に著しいズレがあり、歯の移動だけでは咬み合わせの改善が困難な骨格性下顎前突に適用されます。
手術で上顎を前に出したり下顎を後ろにさげることで骨格バランスを整えます。「手術前矯正 → 手術 → 手術後矯正」のステップを踏みます。骨格レベルで顔立ちが変化し、咬み合わせの機能も根本から改善できます。
当院は歯科矯正診断施設基準および、顎口腔機能診断施設基準の適合施設基準を満たしていますので、「顎変形症」と診断された場合、矯正歯科治療にも健康保険が適用されます。
いずれの治療法が最適かは、セファロ分析(横顔のレントゲン検査)を行い、歯の角度と骨格のズレを確認することで判断されます。
また、当院では顔の形態を3次元的に分析できるフェイススキャナを導入しています。現状や治療後の予測顔貌を、シミュレーションで3次元的に確認することができるので安心です。
まずは矯正検査を受けて、抜歯の必要性や外科手術の適応があるかを相談することをおすすめします。
以下では代表的な3つの装置をご紹介し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。ただし、保険適用の外科的矯正治療では、表側のワイヤー矯正のみになります。
マウスピース(アライナー)矯正
透明なマウスピースを、段階的に交換しながら歯を動かしていく治療方法です。
メリット
・目立ちにくく、周囲から気づかれにくい
・食事や歯みがきの際に取り外せて衛生的
・金属アレルギーのリスクがない
デメリット
・歯の移動力に限界があり、重度の下顎前突には適さないことがある
・1日20時間以上の装着が必要
・装着時間が不足すると治療効果が得られにくい
ワイヤー矯正(表側矯正)
歯の表側にワイヤーとブラケットを装着する最も一般的な矯正方法です。「ラビアル矯正」とも呼ばれます。
メリット
・さまざまな症例に対応できる高い治療効果
・複雑な歯の動きもコントロールしやすい
デメリット
・装置が目立ちやすく、見た目に抵抗がある方もいる
・食事や歯みがき時に注意が必要
ワイヤー矯正(裏側矯正)
歯の裏側に装置をつけて行う矯正治療です。「リンガル矯正」とも呼ばれます。
メリット
・装置が外から見えないため審美性が高い
・接客業など人前に出る機会の多い方にも適している
デメリット
・装置に慣れるまで発音しづらいことがある
・表側矯正に比べて費用が高くなる傾向にある
・歯みがきが難しくなる場合がある
下顎前突の矯正歯科治療を行う上でのリスク
下顎前突の矯正歯科治療には、いくつかの注意点やリスクもあります。
まず、骨格的な問題が大きい場合には、歯の移動だけでは改善しきれないことがあり、外科手術が必要になる可能性があります。
また、成長期のに矯正歯科治療を行うことで、一旦咬み合わせが改善されても、下顎の成長は中学〜高校生くらいまで続くため、思春期に再び受け口になることがあります。
そのため、長期的な経過観察が重要で、むやみやたらに小さい頃から治療を開始することをお勧めしていません。
治療中に歯の動きに伴う痛みや違和感を感じることもあります。さらに、治療後に適切な保定を行わなければ、後戻りが起こる可能性もあるため、治療後のフォローも重要です。
事前に医師と十分に相談し、納得したうえで治療を進めることが大切です。
下顎前突の矯正歯科治療にかかる期間・費用
期間
下顎前突の矯正歯科治療にかかる期間は、症状の重症度や治療方法によって異なります。
成人の治療で、歯の傾きによる軽度な下顎前突であれば1年程度のこともありますが2年半程度が一般的です。
お子さんの成長期間中の矯正歯科治療の場合は、成長に合わせて数年単位で経過を見ながら調整することが多くなります。
矯正歯科治療の期間については、こちらで詳しく解説しています
費用
矯正歯科治療は原則として自由診療にあたるため、治療費は全額自己負担となります。
前歯の傾きを整える軽度の矯正治療であれば約40〜70万円、ワイヤーを用いた矯正歯科治療では100万円程度です。外科手術を伴う場合は健康保険の適用になります。
装置の種類や治療期間、調整回数などによっても変動しますので、当院では矯正相談時に事前に見積もりをお渡しします。
また、外科手術を伴う場合は健康保険の適用になります。この場合は、施術した内容に応じて、診療の都度お支払いが必要となります。
矯正歯科治療は1回が約5000円前後となります。外科手術が完了し、退院時には大きな金額が必要となります。矯正相談時に、改めて詳細をお伝えいたします。
※詳しい費用は以下ページもご覧ください↓
下顎前突(受け口)の矯正歯科治療を検討している方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください
下顎前突の状態や原因は人によって異なり、治療方法もそれぞれに合わせた計画が必要です。
愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科では、丁寧なカウンセリングを通じて、お一人おひとりに合った治療方針をご提案しています。矯正治療が初めての方にも安心してご相談いただけるよう、わかりやすい説明と継続的なサポートを心がけています。
まずは相談だけでも構いませんので、お気軽にご予約ください。
矯正治療を検討されている方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください
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