上顎前突(出っ歯)の矯正歯科治療方法を歯科医師が解説。費用・期間や特徴を方法別に比較
前歯が前に出ている状態 (いわゆる「出っ歯」) は、専門的には「上顎前突 (じょうがくぜんとつ)」と呼ばれ、見た目の印象だけでなく、咬み合わせや発音など、お口の機能にも影響を及ぼします。
本記事では、上顎前突の矯正歯科治療方法を中心に、原因や費用・期間、注意点までわかりやすくご紹介します。
出っ歯でお悩みの方は、国内外で多数の講演実績を持つ歯科医師が在籍する、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください。
上顎前突とはどのような歯並び?
上顎前突とは、顔を横から見た際に、上の歯列が下の歯列より大きく前に出ているのが特徴です。
上顎前突の程度や原因によって、見た目だけでなく、咬み合わせや発音、口の開閉などの機能にも影響が出ることがあります。そのため、症状に応じた適切な矯正歯科治療が重要です。
上顎前突になる原因
上顎前突の原因は一つではなく、いくつかの要素が重なっているケースも多く見られます。
ここでは、主な4つの原因をご紹介します。
歯の生える向き
上の前歯が、本来の方向よりも前方に傾いて生えることで、上の前歯が出ているように見えることがあります。
これは「歯性上顎前突」と呼ばれるタイプで、奥歯の咬み合わせや上下の顎の位置関係に問題が少ないことが多く、比較的軽度な症例に分類されます。
矯正治療によって歯の角度を整えることで、改善が期待できます。
顎の大きさ
上顎の骨が通常よりも前方に大きく成長、または突出している場合、歯ならび自体は整っていても、土台となる骨格が前に出ているため、口元全体が突き出して見えます。
また一方で、上の顎の大きさは正常でも、下の顎の骨が小さかったり、後ろに位置していたりする場合もあり、相対的に上の歯が前に出ている状態になります。
日本人には後者が多いと言われており、前歯の傾きは正常であっても、上下の骨格の成長がずれていることによって、出っ歯になることがあります。
歯の大きさ
歯の大きさと顎の大きさのバランスが取れていないと、前歯が前方に押し出され、上の前歯が前に突き出ている状態になることがあります。
特に、上の前歯が大きい場合や、顎の横幅が狭い場合に見られる傾向です。
舌癖・口腔習癖
舌で前歯を押す癖(舌癖)や、指しゃぶり、唇を噛む癖など、日常的な口腔習癖が原因で上の歯が前に出ることもあります。
また、いわゆるお口ポカンと呼ばれる「口呼吸」が幼少期から習慣的に続くと、上顎の横幅が狭くなり、前歯が前に突き出していきます。
これらの習慣は、歯ならびや顎の成長に影響を与えるため、矯正歯科治療と並行して、舌や口唇のトレーニングによる改善を図ることが重要です。
口呼吸
口呼吸が習慣化していると、口元の筋肉バランスが乱れ、上顎の成長が過剰になったり、舌の位置が不安定になったりすることがあります。その結果、上の前歯が前に出る要因となる場合があります。
口呼吸は、習慣性のものもあれば、アレルギー性鼻炎など耳鼻科疾患が原因になっていることもあります。検査や問診の結果、耳鼻科の先生と連携をとりながら矯正歯科治療を進めていくこともあります。
上顎前突を矯正歯科治療する方法
上顎前突の治療にはさまざまな方法があり、治療の開始時期、症状の程度やご希望に応じて最適な治療法を選ぶことが大切です。
また、成長期(子供)と成人(大人)で治療の目的やアプローチが異なります。
成長期の治療
成長期の治療は「第1期治療(9〜12歳頃)」と呼ばれ、上顎の前方への成長を抑えたり、下顎の成長を促進することで骨格的なバランスを整えます。
成人では顎の成長が止まっているため、骨格的な改善を期待できることが、この時期の治療のメリットです。
【主な装置】
ヘッドギア:
上顎の前方成長を抑制し、奥歯を後ろへ移動させます。就寝時に毎日使用します。
バイオネーター:
下顎の前方への成長を促します。就寝時に毎日使用します。
成人(大人)の治療
成人はすでに顎の成長が止まっているため、歯の移動により咬み合わせを改善する治療が必要となります。
歯の重なり具合や顎の骨格的なズレの程度によって、大きく3つのアプローチに分かれます。
1) 非抜歯矯正
顎のスペースに比較的余裕がある場合や必要な歯の移動量が少ない場合に選ばれます。
主な方法:
奥歯を後ろへ移動させる「遠心移動」や、顎の横幅を広げる「側方拡大」、隣り合う歯の表面をわずかに削る「IPR(ストリッピング)」などでスペースを確保します。
メリット:
健康な歯を抜かずに済み、抜歯矯正に比べて治療期間が短くなる傾向があります。ただし、口元を大きく下げる効果は限定的(2〜4mm程度)です。
2) 抜歯矯正
歯を並べるスペースが不足している場合や、必要な歯の移動量が多い場合に選ばれます。
主な方法:
一般的に左右の「第一小臼歯(前歯から4番目の歯)」を抜歯し、その空いたスペース(約7〜8mm)を利用して前歯を後ろに下げながら咬み合わせを改善します。
メリット:
口元の突出感を大きく改善しやすく、無理に並べて歯が外側に広がるリスクを抑えられます。 いわゆる口ゴボが強い症例で利用されます。
ただし、前歯を後ろに下げることで、上下の口元も下がります。上下の口元が下がりすぎることで、老け顔に見えたり、ほうれい線が目立ったりするようになりますので、検査時に理想的な口元の希望をしっかり擦り合わせておくことが大切です。
矯正歯科治療における抜歯のメリット・デメリットは、こちらの記事で紹介しています
3) 外科的矯正治療(顎変形症の治療)
顎の骨の大きさや位置に著しいズレがあり、歯の移動だけでは咬み合わせの改善が困難な骨格性上顎前突に適用されます。
特に、日本人に多い、下顎の成長が少なく、顎のラインが出ない症例に適応されます。
手術で下顎を前に出すことで骨格バランスを整えます。「手術前矯正 → 手術 → 手術後矯正」のステップを踏みます。
メリット:
骨格レベルで顔立ちが変化し、咬み合わせの機能も根本から改善できます。
当院は歯科矯正診断施設基準および顎口腔機能診断施設基準の適合施設基準を満たしていますので、「顎変形症」と診断された場合は、矯正歯科治療にも健康保険が適用されます。
いずれの治療法が最適かは、セファロ分析(横顔のレントゲン検査)を行い、歯の角度と骨格のズレを確認することで判断されます。
また、当院では、顔の形態を3次元的に分析できるフェイススキャナを導入しています。現状や治療後の予測顔貌を、シミュレーションで3次元的に確認することができるので安心です。
まずは矯正検査を受けて、抜歯の必要性や外科手術の適応があるかを相談することをおすすめします。
以下では代表的な3つの装置をご紹介し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。ただし、保険適用の外科的矯正治療では、表側のワイヤー矯正のみになります。
マウスピース(アライナー)矯正
透明なマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かしていく治療方法です。
アライナーの画像
メリット
・目立ちにくく、周囲から気づかれにくい
・食事や歯みがきの際に取り外せて衛生的
・金属アレルギーのリスクがない
デメリット
・歯の移動力に限界があり、重度の上顎前突には適さないことがある
・1日20時間以上の装着が必要
・装着時間が不足すると治療効果が得られにくい
ワイヤー矯正(表側矯正)
歯の表側にワイヤーとブラケットを装着する最も一般的な矯正方法です。「ラビアル矯正」とも呼ばれます。
メリット
・さまざまな症例に対応できる高い治療効果
・複雑な歯の動きもコントロールしやすい
デメリット
・装置が目立ちやすく、見た目に抵抗がある方もいる
・食事や歯みがき時に注意が必要
ワイヤー矯正(裏側矯正)
歯の裏側に装置をつけて行う矯正治療です。「リンガル矯正」とも呼ばれます。
メリット
・装置が外から見えないため審美性が高い
・接客業など人前に出る機会の多い方にも適している
デメリット
・装置に慣れるまで発音しづらいことがある
・表側矯正に比べて費用が高くなる傾向にある
・歯みがきが難しくなる場合がある
上顎前突の矯正歯科治療にかかる費用・期間
期間
上顎前突の矯正歯科治療にかかる期間は、症状の重症度や治療方法によって異なります。
成人の治療で、歯の傾きによる軽度な上顎前突であれば1年程度のこともありますが2年半程度が一般的です。
子どもの成長期の場合は、成長に合わせて数年単位で経過を見ながら調整することが多くなります。
矯正歯科治療の期間については、こちらで詳しく解説しています
費用
矯正歯科治療は原則として自由診療にあたるため、治療費は全額自己負担となります。
前歯の傾きを整える軽度の矯正治療であれば約40〜70万円、ワイヤーを用いた矯正歯科治療では100万円程度です。装置の種類や治療期間、調整回数などによっても変動しますので、当院では矯正相談時に事前に見積もりをお渡しします。
また、外科手術を伴う場合は健康保険の適用になります。この場合は、施術した内容に応じて、診療の都度お支払いが必要となります。
矯正歯科治療は1回が約5000円前後となります。外科手術が完了し、退院時には大きな金額が必要となります。矯正相談時に、改めて詳細をお伝えいたします。
※詳しい費用は以下ページもご覧ください:
矯正歯科治療の料金について↓
上顎前突の矯正歯科治療を検討している方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください
上顎前突の矯正歯科治療は、見た目だけでなく咬み合わせやお口の機能にも大きな影響を与えます。
当院では、さまざまな症例に対応できる体制を整え、丁寧なカウンセリングをもとに治療方針をご提案しています。
愛媛県松山市にある大谷歯科矯正歯科は、日本矯正歯科学会認定医・指導医、日本顎咬合学会認定医が在籍し、200回以上の講演実績を持つ医師が監修する歯科医院です。初診では、口腔内と顔貌をスキャナで撮影し、現状の把握と治療の選択肢をご説明します。
まずは相談だけでも構いませんので、気になることがあればお気軽にご予約ください。安心してご来院いただける環境を整えてお待ちしております。
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