マウスピース矯正ができない人の特徴9選。適応外になるケースと代替治療を紹介
監修医情報
医療法人丹心会 大谷歯科矯正歯科 理事長 大谷 淳二(おおたに じゅんじ)
愛知学院大学歯学部卒業後、広島大学大学院にて顎顔面の成長発育をテーマに歯学博士を取得。
大学では矯正歯科・顎変形症治療を専門に研究と臨床に従事し、米国UCSF客員教授としても骨格性不正咬合や外科的矯正を含む国際水準の矯正歯科治療に携わる。
現在は大谷歯科矯正歯科の理事長として、見た目だけでなく「咬める」「長く保つ」ことを重視した矯正治療を軸に、精密検査・3D診断・アンカースクリューを用いた治療計画を日常臨床で実践。
世界インプラント矯正歯科学会(WIOC)理事、日本顎変形症学会評議員として、外科的矯正・骨格性不正咬合・難症例矯正の分野で学術的にも活動している。
【主な資格・所属学会】
- 日本矯正歯科学会 認定医
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本舌側矯正歯科学会
マウスピース矯正は目立ちにくく取り外しできる装置として人気があります。一方で「自分にはマウスピース矯正が向いている?」「適応外と言われたらどうすればいい?」と不安になる方も少なくありません。
実は、歯ならびや骨格、歯周病の進行度、生活習慣などによって向き不向きがあります。ただし、条件を整えることで可能になるケースもあります。
この記事では、マウスピース矯正が適応外になりやすい特徴と、代替の治療法をわかりやすく整理します。
矯正歯科治療を検討されている方は、国内外で多数の講演実績を持つ歯科医師が在籍する、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください。
マウスピース矯正ができない人の特徴9選
マウスピース矯正は多くのケースで検討できますが、すべての歯ならびに万能なわけではありません。ポイントは、歯の移動量や咬み合わせの複雑さと、装着時間の確保など、日々の自己管理が続けられるかどうかです。
「前歯だけが気になる」と相談に来られた方でも、実際には奥歯の咬み合わせや骨格の問題が関係していることもあります。
ここでは「マウスピース矯正が適応外になりやすい人」として、マウスピース単独では難しいことが多い代表例を9つ紹介します。
該当しても、他の治療との併用や段階的治療で対応できる場合があるため、自己判断せず検査・診断で確認しましょう。
上顎前突(出っ歯)や叢生(ガタガタ)で、犬歯が直立している場合
当院では、マウスピース矯正に取り組み始めてすでに10年以上経過しておりますので、ガタガタが大きい場合でも、マウスピース矯正の適応となる症例はたくさんあります。
現在では、単に「ガタガタが大きい」ことがマウスピース矯正を諦める理由にはなりません。実は、歯を動かす上で、最も動きにくいのは、犬歯(糸切り歯)なのです。
犬歯は、全ての歯の中で最も歯根(歯の根っこ)の長さが長く、動かす上で大きな力を必要とします。
たとえ、重度の上顎前突や叢生でも、犬歯が前歯の方に傾いている場合には、奥に下げることは容易で、マウスピース矯正の適応となります。
ところが、犬歯がすでに奥に向いて傾いていたり、まっすぐ生えている場合には、歯根をたくさん後方に動かす必要があり、マウスピース矯正では難易度が非常に高くなります。
一度、犬歯の生え方に着目してみてください。
上顎前突(出っ歯)で、前歯が直立している場合
上顎前突(出っ歯)では、
①単純に上の前歯が前方に傾くことで出っ歯になっている場合と、
②前歯はあまり前方に傾いておらず、むしろ下顎の成長が弱いことで、下顎が後ろに下がっており、出っ歯になっているパターン
があります。
上の前歯が前方に傾いている場合には、その前歯を内側に傾けて改善できますので、マウスピース矯正でも治療が可能です。
一方で、上の前歯はそこまで外側に傾いていないにもかかわらず、下顎が後ろに下がっていて、相対的に上の前歯が出っ歯に見えることがあります。
このような場合は、後ろに下がっている下顎の前歯の位置まで、上の前歯を下げる必要がありますので、マウスピース矯正では難易度がかなり高くなります。
マウスピース矯正で治せる出っ歯と治せない出っ歯について、こちらの記事で紹介しています。
重度の歯周病
歯周病が進行していると、歯を支える骨が減り、歯が揺れやすくなります。
その状態で矯正治療を始めると、歯や歯茎に負担が増え、状態が悪化する可能性があるため、まずは歯周病治療で炎症を落ち着かせ、口腔環境を安定させることが優先です。
これは、ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも同じです。ここで大切なのは「矯正ができない」と決めつけないこと。状態が改善し、セルフケアと定期管理が続けられる見込みが立てば、矯正を再検討することができます。
しかしながら、マウスピース矯正では、1日の中で何回もアライナー(歯を動かすためのマウスピース)を取り外しする必要があります。
アライナーを取り外しする時は、歯を上に引っ張る方向に力がかかるため、アライナーを取り外す度に、歯が抜ける方向に力がかかります。
歯周病が重度であった場合、歯を支える骨も吸収が大きくなっている可能性がありますので、歯周病治療が終了した後も、マウスピース矯正はお勧めできないことがあります。
その場合は、ワイヤー矯正であれば治療が可能です。
重度の過蓋咬合
過蓋咬合とは、上の前歯が下の前歯を深く覆う咬み合わせで、咬んだ時に下の前歯が全く見えないぐらい深い咬み合わせになっている場合もあります。
また、過蓋咬合に加えて、上の前歯が内側に傾いている場合、マウスピース矯正単独で治療することは、非常に難易度が高くなります。
そこで必要になるのが、歯科矯正用アンカースクリュー という装置です。上下の前歯にアンカースクリューを取り付けることで、前歯の重なりを減らし、過蓋咬合を効果的に改善できます。
また、過蓋咬合の方は、日常から「咬み締め」の癖があったり、就寝中に「食いしばり」の癖を持っている方が多いです。
その場合、次のアライナーに交換する前にアライナーが変形してしまったりすることがあり、治療途中のチェックが重要です。
顎の骨格に問題がある
骨格性の上顎前突・下顎前突(出っ歯・受け口)など、上下の顎の位置関係が主な原因になっている場合は、歯だけを動かしても有効な改善が認められないことがあります。
マウスピース矯正で歯ならびを整えられても、口元の突出感や受け口の顔貌が残ることも。
当院では、顔の3次元スキャンを行い、歯を動かした時の顔のバランスを360度方向から確認することができます。
歯の移動だけで十分な改善が認められない場合や、自分の理想の顔貌に近づかない場合は、必要に応じて外科矯正(顎の骨を手術で切断する方法を併用した矯正歯科治療)を含めた選択肢をご提示します。
外科矯正の適応になった場合、矯正歯科治療は保険適応となりますが、その場合はマウスピース矯正はできません。保険適応となる矯正歯科治療で使える装置は、ワイヤー矯正のみと法律で決められているからです。
歯の角度の調整でどこまでカバーできるかは、唇の厚みや鼻やアゴの高さなど、人によって差があります。まずは「歯の問題」か「骨格の問題」かを切り分けることで、ご自身に適した治療方法が見えてきます。
インプラント治療をしている
インプラントは骨に固定されているため、天然歯のように矯正力で動かすことができませんが、インプラントが入っているからと言って、マウスピース矯正を含めた矯正歯科治療ができないというわけではありません。
ただし、インプラントの位置によっては、周囲の歯の移動範囲が制限され、歯列全体のスペース調整が難しくなることがあります。その場合は、インプラントの上部構造(被せもの)の大きさや形を修正する必要があるかもしれません。
親知らず以外の埋伏歯がある
親知らず以外の埋伏歯(骨の中に埋まった歯)があると、歯ならびの乱れや歯の移動の障害になることがあります。埋まっている位置によっては、抜歯や牽引など外科的な対応を先に行う必要があり、マウスピース単独では対応しにくいケースも。
その場合は、マウスピース矯正に入る前に、リンガルアーチと呼ばれるワイヤーの装置を装着し、埋まっている歯を適切な位置へ引っ張り出してから、マウスピース矯正へと移行することで、矯正歯科治療ができるようになります。
ご自身では自覚がないことがほとんどですが、レントゲン検査で見つかることがあります。まずは、画像検査で、埋伏歯の位置とリスクを確認します。
放置すると周囲の歯の移動に影響することもあるため、治療の順番を含めて相談しましょう。
永久歯が生え揃っていない(成長途中の時期)
永久歯が生えそろっていない時期は、歯の生え変わりや顎の成長で歯ならびが変化します。そのため成人と同じ設計では、マウスピース矯正を進めることができません。
また、乳歯がグラグラしている時期は、アライナーの取り外しが痛くてできないこともあります。ですから、永久歯の生えかわりに合わせて、経過観察を挟んだり、別の装置で土台を整えてからマウスピース矯正に進んだりすることも。
当院では、そのような場合でも、追加の費用負担はありません。
もう一つ、よくあることとして、親がマウスピース矯正を始めると決めても、実際に使う子ども自身がきちんと装着時間を確保できず、なかなか治療が進まないというパターンもあります。
ワイヤー矯正であれば、自分で取り外しができないので、それでも治療が進みますが、マウスピース矯正では、自分で取り外しを頑張らないと、なかなか治療が進みません。
本人の「治したい」という意志を確認しておくことが大切です。
自己管理ができない
マウスピース矯正は装着時間(目安は1日20時間)を守ることが前提です。
残りは4時間しかありませんので、朝食・昼食・夕食に加えて間食時間を入れると、食事の時以外は、ほぼずっとアライナーを装着しておく必要があることがおわかりいただけると思います。
生活スタイルとして、仕事の会食や友人との食事が多い、お酒が好きで、ダラダラとずっと飲酒してしまう習慣がある場合、マウスピース矯正を行うのであれば、生活習慣の改善が必要になります。
また、間食が多い場合も同様です。むし歯になるリスクを下げるためにも、砂糖入りの間食や飲み物をダラダラ、摂取することは控えましょう。
仕事中や外出先では歯磨きが難しい場合もあります。
その場合は、食事後、水などでお口をゆすぐことができれば行っていただき、歯磨きをすることよりもアライナーを装着することを優先してください。そして、歯磨きできる環境や時間になったら、アライナーを外して入念な歯磨きをお願いします。
アライナーを外す時間が長いと歯が計画どおり動かず、アライナーを作り直したり、治療期間が長引く可能性があります。
もしこれらの対応が難しそうなら、自己管理の負担が少ない他の矯正方法も検討しましょう。無理のない計画にすることが失敗予防につながります。
歯ぎしり・食いしばりが強い
歯ぎしり・食いしばりが強いと、マウスピースが割れたり変形したりしてフィットが悪くなることがあります。フィット不良は、歯の動きのズレや、咬み合わせの違和感につながることも。
朝の顎のだるさ、詰め物の破損が多い方は要注意です。通常、アライナーは1週間で次の新しいアライナーに交換しますので、その間に使えなくなることはあまりありません。
強い力がかかる方は、チェック頻度を上げるなどの管理方法の変更や、アライナーの作製方法にもコツが必要になりますが、当院では経験豊富な歯科医師が個別に対応いたします。
マウスピース矯正ができない場合の矯正方法
当院では、10年以上にわたるマウスピース矯正の治療経験があります。また、院長は、歯科矯正用アンカースクリューの開発に携わった経緯があり、アンカースクリューを併用したマウスピース矯正により、その適応は以前と比べてかなり広がってきています。
それでも、マウスピース矯正が適応外となってしまった場合には、ワイヤー矯正で治療を行うしかありません。
自分の歯を実際に動かして並べる矯正歯科治療において大切なのは、無理にマウスピースにこだわることではなく、理想の咬み合わせで矯正歯科治療終了後も快適に過ごすことです。咬み合わせの安定とお口の健康を守るために、その決心も大切です。
歯の動きの難しさ
マウスピース矯正では、アライナーと呼ばれる柔らかいマウスピースを使用して歯を動かします。そのため、ワイヤー矯正でよく聞かれる、「歯が動く時の痛み」は感じにくいです。
しかしながら、素材が柔らかいゆえに、歯を動かすための力が不足することもあり、マウスピース矯正単独では、理想の結果を出せないこともあります。特に、上の前歯の出っ歯症例では、治療が難しくなります。
実際には、前歯の移動量ではなく、移動様式(動き方)に制限があるのです。いわゆる、「歯体移動」と呼ばれる、歯の頭と根っこを同じ量移動させる方法は、マウスピース矯正では実現できない移動様式です。その動かし方を妥協すると、いわゆる「ガミースマイル」や「人中が伸びた」といった新たなトラブルを生むことがあります。
その時には、表側や裏側からワイヤー矯正を選択した方が、綺麗で良い咬み合わせを実現することができます。もちろん、ワイヤー矯正であっても、歯科矯正用アンカースクリューを併用することはあります。
このあたりの知識と技術は、歯科医師によって差があり、マウスピース矯正できれいに歯を並べることができるかどうかの違いが生まれてきます。
当院には、マウスピース矯正に携わって10年以上の経歴を持つ歯科医師が複数名在籍しています。個別の症例に合わせて、適切な治療計画とアライナーの作製方法をご提案いたします。
歯周病の進行
歯周病やむし歯がある場合は、先に歯周病治療で歯ぐきの炎症を落ち着かせ、むし歯治療で正しい歯の形態を回復してから、矯正歯科治療へと移行していく必要があります。
歯周病は、歯ぐきが腫れるだけでなく、歯ぐきの下の骨が溶ける病気です。骨が溶けるのにもかかわらず痛みがでないため、「沈黙の病気」と言われています。
このように、知らず知らずのうちに進行しているのが歯周病の恐ろしさです。
当院には、日本臨床歯周病学会認定衛生士が在籍し、歯科医師も日本歯周病学会および日本臨床歯周病学会に所属して日々研鑽を積んでいます。
歯周病の治療と管理を、医院全体でサポートすることができますので、安心して矯正歯科治療をお受けください。
骨格性の問題
これまでに、マウスピース矯正ならではの難しさについてご説明してきました。
マウスピース矯正では、細かな歯の動きをコントロールできますが、一方で苦手な歯の動かし方もあります。特に歯根(歯の根っこ)を大きく動かす必要がある症例や、歯の捻転(ねじれ)が大きい症例は、マウスピース矯正が苦手とする部分です。
そのような症例では、マウスピース矯正が苦手な動きだけ、先に部分的なワイヤー矯正で修正しておいて、その後にマウスピース矯正で治療を完了させるという、ハイブリッドな治療が必要なこともあります。
当院では、ワイヤー矯正に精通している3名の歯科医師が在籍しておりますので、ワイヤー矯正と併用すべき矯正歯科治療についても、問題なく治療を行うことができます。また、その場合の追加費用は一切必要ありません。
ワイヤーだと目立ってしまうのが不安という方もいらっしゃるかと思いますが、当院が使用している表側の矯正装置は、全て歯と同じ色のセラミックブラケットのため、比較的目立ちにくいです。
また、どうしても気になるようであれば、裏側のワイヤー矯正で対応することも可能です。ぜひご相談ください。
生活習慣
マウスピース矯正では、アライナーを作製するまでが医院の仕事、実際に装置を装着するのは患者さんご自身であるという、ワイヤー矯正とは少し違う性質の矯正歯科治療です。
つまり、患者さんご自身が、正しい使用方法、正しい使用時間を確保していただかないと、良い結果を出すことはできません。
10年以上のマウスピース矯正経験の中で、様々な性格の患者さんと向き合ってきた当院だからこそ、できる対応策があります。
流れや期間の見通しを丁寧に確認し、治療開始に際して不安がある場合は、通院計画も含めて個別にカスタマイズしますので、じっくり相談しましょう。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の比較はこちら
マウスピース矯正ができるか知りたい方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください
マウスピース矯正ができるか不安な方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください。
当院は国内外で200回を超える講演実績のある医師が監修するクリニックです。
日本矯正歯科学会認定医・日本矯正歯科学会専門医・日本顎咬合学会認定医が在籍しており、歯ならびや咬み合わせ、歯周病の状態、骨格のバランスまで検査(写真・レントゲン等)で確認した上で、治療の選択肢を丁寧にご説明します。
まずは相談だけでも大丈夫です。初診ではお悩みを伺い、必要な検査後に治療計画と期間の目安、リスクを共有し、納得できた段階で次のステップをご案内します。
無理に治療を勧めるのではなく、生活スタイルに合う方法を一緒に整理していきます。
出っ歯の矯正治療を検討されている方は、愛媛県松山市の大谷歯科矯正歯科にご相談ください
定期的に【無料矯正相談会】を実施しております